もう涙なんて出ないと思ってた。
あの日、全ての涙を流したはず。
でも、止まらなかった。
理由はなんとなく分かる。
きっとこれが最後だったから。

背中に感じた温もりも、指先に感じた暖かさも、魔法のような言葉も、素敵な笑顔も、隣にいる幸せも…。

自分が傷つくのが恐かった。
この関係が崩れるのが怖かった。
だから、最後まで言えなかった。
元々、言う資格なんてなかった。

後悔するな。

後悔？
そんなのしてないよ。
その選択が、きっと一番正しい選択だったんだ。
そう自分に言い聞かす。
せめてもの慰め、せめてもの意地。

あの日、あのまま何処かへ連れ去ってしまえば、連れ去ることができたら…。
ばーか。
後悔してんじゃん。

今日久しぶりに、「その言葉」を聞いた。
絶対に嘘で、絶対に本心じゃなくても。
それでも、馬鹿な僕には嬉しかった。

楽しかったってさ。
じゃあ、それでいいじゃないか。
もう思い残すことはないだろ？

ずっと前に、誰かが言ってた。
「その言葉は、分かっていても、言われるとやっぱり嬉しい」
彼女は喜んだのかな？
それとも、困った？
またか、って。

神様は意地悪だ。
なんであんなとこで会わせるの？
そんなことされたら、困るって分かってんじゃん。
ホント、馬鹿ばっかりだ。
僕も、貴女も、そして神様も。

いつか伝えたいなぁ。
　　　って。

何書いてんだろ。
折角楽しみにしてたのにごめんね。