薄氷の上を歩くような脆く儚い雰囲気

なーんもやることがない。
やることがなさすぎて困る。
只今事務所に5人。
いつもは鳴りっぱなしの電話も、今日はまったく鳴りません。
こんなことなら休みをもらっておけばよかったなぁ。


それは誰に向けられている言葉なのか？
誰に向けられている空気なのか？
なんだかよくわからないけど、触れちゃいけない爆弾を誰かが抱えている。
でも、みんな興味本位でその爆弾をつついている。
きっと「爆発しても自分のせいじゃない。そもそもの原因はお前だろ？」って思ってるんだろうね。
だから好き勝手に自分の意見を説いている。
さも、自分が「正しい」みたいに。

「昨日の敵は今日の友」

それだけ聞くといい言葉に思えるけど、果たして本当なのか。
結局、嫌われたくないから、表面だけ取り繕ってるようにも見える。
そりゃあ、誰だって嫌われたくないさ。
好きな人にはもちろん、嫌いな人にも。
でも、自分を偽ってまでも、好かれたくもない。
少なくとも、僕は…。


人生で初めて他人をぶん殴りそうになった時、そいつと「普通」に話せるようになるには1年近くかかった。
今でも、たぶん、ギクシャクしているかもしれない。
そいつとは同じ時間を共有した仲間で。
もしかしたら、同期の中じゃ一番接している時間が長かったかもしれない。
ここだけの話、昔は誰が一番早く彼女ができるか競争していたような仲だった。
今考えると、なんだか照れくさい。
けど、そういうベースがあったから、頑張って話しかけてみたんだろうな。
あの時、一瞬周りの視線が集中した。
おいおい、そんな見せもんじゃないよ。
一触即発っぽい雰囲気の中で、慣れない乾杯したっけ。

「お疲れ様」「あ、おう」

うろ覚えだ。この前会った時も、普通に話せてた。
いい意味で「まじめな馬鹿」な奴だからね。


その反面、もう絶対に話せない人もいる。
同じ空間にいるのも、声を聞くのも、その存在すらも許せない。
同じ同期なのにこの扱いの差は何なんだろうか。
僕が許せないのは、そいつの考え方。
自分をとことん正当化して、自分のしてきたことを過去の事として処理しようとしている。
今でも忘れられない。

「俺のこと無視するなよ」「頭痛と吐き気に悩まされる日々はもうたくさんだ」

ハッキリ言って呆れてしまった。
どれだけ自分が可愛いんだよ？
そんなに俺を悪者にしたいのか？
てか、俺が全て悪いのか？
今もそいつは馬鹿なことを繰り返しているみたい。
その神経は、ある意味尊敬に値する。
彼の気持ちも分からなくはないけれど…。
でも分かりたくはない。
不意に出た言葉が、どれだけ人を傷つけるのか。
もうちょっと知ったほうがいいのかもしれないね。
もしかしたら、こいつとも笑いあえる日が来るのでしょうか？
ハハ、ありえない。
あるとしたら、僕が伝家の宝刀「右ストレート」を顔面にぶち込んだ後だろう。


本当に大切な人は、自分の意見に耳を傾けてくれる人だと思う。
それが自分よがりで身勝手な意見だとしてもね。
話を聞いてくれる存在の、なんと嬉しいことか。

「よし、飯食いに行こうか」

僕が、メガネに言われて救われた言葉です。
僕の言葉も、誰かの救いになっていると嬉しいんだけどね。